たった一人の母が体を悪くし、遠方に住んでいると何かと不便なので、私が住む街に呼んで介護をしていました。
でも、「そろそろ覚悟を」と言われているんですが、もしもの時に葬儀は地元でと考えています。
そうなの。
今のうちに色々決めておかないと、もしもの時は頭が回りそうにない気がして。
そのまま遺体搬送って思っていたけど、火葬してから搬送することもできるんだ・・・。
そこらへん、よくわからないから、詳しく知りたいわ。
叔父は長年福岡で生まれ育ち商売を営んでいた人だったものの、晩年は99歳と高齢なこともあり、一人娘の住む神奈川で過ごしていました。
そして、その神奈川で亡くなり、叔父の遺言もあり葬儀は福岡ですることに。
何が大変って、遺体搬送の手配や費用が・・・。
そこで今回は、そんな叔父の体験も踏まえ、遠方で死亡した場合
- 葬儀の手配や手続き
- 火葬して運ぶ場合
- 遺体搬送する場合
- 海外から搬送する場合
について、詳しくお話ししたいと思います。
遠方で死亡した場合!葬儀の手配や手続きはどうしたらいい?
葬儀は地元でやるから、地元業者に依頼するのよね?
電話だけで手配できるのかしら?
そうですね。
ただ、亡くなってから手配まで、色々とやることがあるので、その流れを説明します。
- 病院の霊安室に安置
- 葬儀社を決める
- 一度自宅に連れて帰る・そのまま地元へ搬送する
- 火葬して搬送・そのまま遺体搬送
- 地元へ戻り、通夜・葬儀の準備
病院の霊安室に安置
まず流れとして、病院で亡くなった際、霊安室に移されてからは親族が色々手配する必要があるのです。
- 葬儀をする場所
- 葬儀社
を決める必要があります。
葬儀社を決める
葬儀を行うのが地元ならば、地元の葬儀社に依頼しなければなりません。
そのため、通常は通夜日程・葬儀日程を先に決めますが、遠方の場合搬送方法から日程を計算し、通夜と葬儀の日程を決める必要があるでしょう。
また、菩提寺(ぼだいじ)がある場合には、この時点で連絡が必要です。
一度自宅に連れて帰る・そのまま地元へ搬送する
とりあえず一度、自宅に連れて帰りたい・・・そういう方も多いでしょう。
ただ、葬儀社は地元業者。
病院から自宅までの搬送は、依頼した葬儀社の提携が近くにあればそこに依頼することができますが、なければ近くの葬儀社に別で依頼する必要があります。
そのため、「病院から自宅までの搬送だけお願いできますか?」
と聞き、依頼する必要があります。
火葬して搬送・そのまま遺体搬送
地元で葬儀を行うにしても、火葬して搬送するか、そのまま遺体搬送するかを考えなくてはいけません。
(これについては、のちほど説明します。)
地元に戻る
地元に戻ってから、それまでに決められなかった細かなことを葬儀社と直接会って話し合う必要があるでしょう。
これを1人で行うと、本当に大変です。
死亡先で動ける人、地元で動ける人がいると、準備等がスムーズにいきます。
葬儀社の選び方は、こちらを参考にしてください。
関連記事)葬儀場の選び方!費用だけで決めちゃっていいの?
遠方で死亡!火葬してから運ぶ場合
ただ、注意点もあります。
火葬するには住民票が必要です。
そのため、あらかじめ住民票を取り寄せておくといいのですが(ただし有効期限は3ヶ月以内)、亡くなってから取り寄せると時間もかかります。
また、もっとも早いのは住民票を事前に今いる場所に移しておくこと。
この場合、費用も通常料金です。
火葬許可証はどの地域でも発行してもらえます。
ただ、住民票がない、その地域に住民票の届け出がない場合、費用が高くなるんです。
遺体搬送するよりはかかりませんが、それでも亡くなった場所に住民票があると8,000円、それ以外は32,000円(地域によって異なる)。
3〜4倍ほど差が出るんです。
遺骨を飛行機で運ぶ場合
また、遺骨を持って飛行機に乗り込むことも可能ですが、それが遺骨(骨壷)とわからないよう持ち込む必要があります。
ただ、手荷物検査があるので、
- 火葬証明書
- 埋葬許可証
- 火葬許可証
- 死亡証明書
などの書類を用意しておきましょう。
そして、飛行機内では棚に入れてしまうと傾いて倒れると大変です。
客室乗務員に話し、膝の上に乗せてもいいかを確認する、もしくは専用棚に倒れないよう梱包して預けましょう。
遠方で死亡してそのまま遺体搬送をする場合
色々大変そうだから、遺体をそのまま搬送する方法もありなのかしら?
やっぱり、最後に顔を見てもらいたいのもあるのよね。
- 自家用車で運ぶ
- 陸運局に登録した搬送業者に依頼
- 空輸
などの方法がありますので、それぞれ説明します。
自家用車で運ぶ
遺体は死後硬直がみられるため、基本まっすぐ寝かせた状態で運ぶ必要があり、ワンボックスやバンがいいでしょう。
遺体からは体液が流れ出ることも考えられますし、腐敗しないよう冷却して運ぶ必要があり、以下のような対処が必要です。
- 棺に入れる
- 防水シーツを敷く
- ドライアイスを入れる
- 暖房などは厳禁
ただ、葬儀社を通さず棺だけを用意することも大変な上(葬儀社に依頼できても割高)、病院からは断られることもあるでしょう。
また、自家用車で搬送する場合、死亡診断書を用意しておかなければ、警察に止められた際何かと厄介です。
陸運局に登録した搬送業者に依頼
方法としては、
- 亡くなった場所の葬儀社に依頼
- 地元で葬儀をする葬儀社に依頼
- 搬送専門業者に依頼
などという方法があり、移動距離によって費用は大きく異なり、
- 近隣県ならば数万円
- 国内で一番遠い場所になると、100万円かかる場合も
ほどしますし、遺体安置にそれほど時間がかかれば、腐敗を進ませないようにする遺体処理費用(ドライアイスなどの費用や特殊処置)もまたかさみます。
なので、輸送代だけでそんなにするということは・・・トータルではもっとかかると思っておいたほうがいいでしょう。
Aさんがかかった費用
- 東京都内近郊から青森まで
- 寝台車(連休者の許可を取ってある青ナンバーのハイエース)を使用
- かかった費用は、50万円
距離×値段なので、車で搬送すると結構かかってしまうんです。
Bさんがかかった費用
- 青森から新潟まで
- 遺体搬送タクシーを利用
- 運転手、遺族関係者1名が同乗
- 合計25万円
なんと、遺体搬送タクシーなんてものがある!と思いましたが、これは葬儀社や遺体搬送を専門としている業者。
やはり、距離×値段なので、陸送は費用がかかります。
空輸する場合
空輸する場合も、基本は葬儀社にお願いする必要があるんです。
ただし、飛行機で空輸する場合、遺体は貨物扱いとなります。
そして、
- 人件費
- 納棺費用
- ドライアイス費用
- 棺
- 運送費(飛行機代+空港までの移送代)
などの費用が必要ですが、どの飛行機にも載せられるわけではなく、手配までに時間がかかれば、遺体安置費用(葬儀社)もかかるでしょう。
- 葬儀社に依頼
- 遺体情報(名前・性別・身長・体重)、依頼者情報(名前・連絡先・故人との続柄)、目的地となる地方・空港名を伝える
- 安置場所まで葬儀社が迎えに行く
- 死亡診断書を渡し、手続きをしてもらう(葬儀社が行う)
- 航空便の日時が決まる(依頼者も同乗するかどうか)
- 現地空港に到着したら、現地葬儀会社が迎えに行く
- 現地葬儀会社が、斎場に運ぶ
という流れなため、搬送するのは現地空港までで、基本はそこから葬儀を行う葬儀社に依頼する必要があるでしょう。
Cさんがかかった費用
- 神戸から東京まで
- 故人の体重は60キロ
- 航空貨物運賃が15,600円
- 死亡した病院から、神戸までの陸送運賃が、50,000円
- 羽田から自宅までの陸送運賃が100,000円
- 合計で16万5千600円で、同行の家族が二人同乗(二人分の飛行機代も別途)
想像以上に安く感じる飛行機代。
遺体は貨物扱いなため、比較的高額ではありません。
また、遺体と同じ航空機は優先搭乗が可能です。
ただしCさんの場合、エンバーミング費用が含まれていないので、それと同乗者二人分の飛行機代がプラスされても30万ほどでしょう。
Dさんがかかった費用
- 福岡から東京まで
- ざっくり1,000kmの距離
- 陸送で60万円かかるといわれた
- 空港まで、空港から斎場は陸送、福岡から東京までは空輸
- トータル40万円かかった
陸送も視野に入れ見積もりを取られていたCさん。
空輸の方が安くなったようです。
やはり、費用が大変高額になることは間違いありません。
遺体をそのまま搬送する場合、100万円は見積もっておいた方が無難という経験者の声が多くありました。
それゆえ、少しでも金額負担を少なくするため、火葬して搬送する方が多いのが事実です。
海外で亡くなられた場合の遺体搬送はどうなる?
火葬して搬送する場合
現地で火葬してから搬送する場合、専用業者に依頼し、火葬してもらいます。
その上で、
- 死亡証明書
- 火葬証明書
- 埋葬許可証
を発行してもらい、帰国後3ヶ月以内に死亡届を提出しましょう。
遺骨の空輸は、国内の場合と同様ですが、上記の書類は必ず忘れないようにする必要があります。
そのまま遺体搬送する場合
現地の日本大使館または領事館へ連絡した上で、必要書類を揃えなければなりません。
- 故人のパスポート
- 死亡証明書
- 日本大使館または領事館の発行する証明書
- エンバーミング証明書
ただし、国によって必要書類や手続きは異なるでしょう。
海外の際も、基本専門業者に依頼し、エンバーミング処置をしてもらい、国際空輸便を手配します。
ただ、海外から空輸する場合はドライアイスではなく、特別な処置が必要で、エバーミング処置をおこなわなければ搬送はできません。
そして、国内と同様に、地元業者に飛行機到着日時を伝え、空港まで迎えに行ってもらいましょう。
最後に
ポイントをまとめます。
- 遠方で亡くなった場合、流れとして
- 病院の霊安室に安置
- 葬儀社を決める
- 一度自宅に連れて帰る・そのまま地元へ搬送する
- 火葬して搬送・そのまま遺体搬送
- 地元へ戻り、通夜・葬儀の準備
- 火葬して運ぶ場合、住民票が必要で、火葬場に住民票がないと費用が3〜4倍に
- 遺骨を持って飛行機に乗り込むことも可能だが、骨壷とわからないようにし、各種書類を用意
- 遺体搬送方法として、自家用車で運ぶ・陸運局に登録した搬送業者に依頼・空輸という方法がある
- 自家用車で運ぶ場合、棺に入れ、体液漏れ対策やドライアイス等の準備が必要
- 亡くなった場所の葬儀社に依頼、地元で葬儀をする葬儀社に依頼、搬送専門業者に依頼という方法がある
- 空輸する場合は、葬儀社に依頼し、飛行機に乗せる・地元業者に引き渡すまでをやってもらう
- 海外で亡くなった場合も、火葬して搬送・そのまま搬送という方法がある
- 海外から遺体搬送する場合は、エンバーミング処理をしなければ、搬送できない
叔父が亡くなった際、手続きが本当に大変で、日数もかかってしまったために、費用も相当かかったそうです。
実は、陸送→空輸→陸送だったにもかかわらず、最大と考えていた100万円以上・・・。
やはり、搬送費用とは別に日程調整が大変で(親戚に頼らず娘家族のみで手続き・準備をしたため一週間以上かかり)その間の保管費用がまた高額に・・・。
そのため、火葬して搬送するか・そのまま遺体搬送するか、どの方法でどの業者にお願いする・・・ということを、事前に決めておいたほうがいいでしょう。