長年病気を患っていた母が、危篤状態になりました。
元気な時に、
「お姑さんと同じお墓はイヤだから、私の遺骨は海に撒いて~」
といっていたんです。
海への散骨って、簡単にできるものなんですか?
「お墓を持ちたくない」
「自然にかえりたい」
という方が増えている現在、遺骨をお墓に納めるのではなく、山や海などに撒く散骨が注目されています。
しかし、まだ一般的にはなっていないため、疑問や不安がいっぱいですよね。
長男である父やその息子である弟がそれぞれ遠方に住んでいて、親戚もそれぞれバラバラな地域に住んでいたので、お墓を立てる場所がないということで、散骨することを親戚一同一致で決めたんです。
実際私も、祖母の散骨に立ち会った経験があるので、今回は日本国内での散骨について
- そもそも散骨って?
- 場所
- 違法にならないのか?
- 方法
- 費用
といった疑問を解決していきます!
なるべく故人の希望を叶えてあげたいですね。
散骨とは?
親戚や知人で散骨をした人がいません。
そもそも、散骨って何なんですか?
希望者が増えてきたとはいえ、まだ一般的にはなっていない散骨。
これから、どういうものなのか説明していきますね。
散骨とは、火葬した後の遺骨を粉々にして、海や山などに撒くことです。
ここで注意したいのは、「遺骨を粉々にして」ということ。
火葬した遺骨をそのまま撒くのはNGです。
遺骨のすべてを散骨する場合と、一部のみ散骨する場合があります。
火葬もすませてきました。
お骨は少しもらって、あとは散骨してもらって、おうちにちんまり納まりました。宗教関係なく、今日のうちしっかり葬いたく。
実家にいない私は幾分、喪失感が少ないのかもしれない、母親と比べると。でもこういうのってあとからじわじわくるんだよね。— なっぱ (@naruha67) 2018年12月19日
近年の少子化などの影響でお墓を持つことが難しかったり、山や海の一部となって自然にかえりたいという理由から、散骨を選ぶ方が増えているんです。
登山や海のレジャーが趣味だった方が、なじみの場所に散骨してほしい、という遺言を残されることもありますよ。
散骨ができる場所はある?法律的には違法ではない?
2018年現在、散骨について規定する法律はなく、「節度をもって行われる限りは違法ではない」との見解が示されています。
この「節度をもって」という点に注目しながら、どのような場所が散骨に適しているのか見ていきましょう。
私有地に散骨する場合は、その土地の所有者の許可が必要になります。
しかし、「遺骨を撒く」という行為を受け入れてくれる可能性はとても低く、他人の所有地では散骨不可能と考えたほうがいいですね。
故人の遺言であっても、公園・テーマパーク・商業施設などでの散骨は難しいと考えましょう。
この3ヶ所に散骨を希望される方が多いですよ。
これから、詳しい解説をしますね。
- 海
- 山
- 自宅の庭
海
「散骨」というと、海をイメージされる方も多いのでは?
雄大な海への散骨を希望する方も多いですが、もっとも散骨しやすい場所も海なんです。
海は誰の所有物でもないため、所有者に許可をとる必要がありません。
また、陸地近くの海だと他人の目があり海産物への風評被害などが懸念されますが、船で沖合いまで出てしまえばそのような心配も不要です。
広い海での散骨は開放的なイメージもあって、人気となっています。
昨年、癌で亡くなった友達のお姉さんが遺言で「亡くなったら沖縄の海に散骨して欲しい」と言い残して亡くなり…家族皆で沖縄に散骨しに行ったとの事…。
あまりにも若くして亡くなってしまったけど希望通り沖縄の海に散骨してもらってきっと喜んでいると思う。 pic.twitter.com/XtyLpe4CEH— k (@k56484858) 2018年12月13日
山
故人の趣味が登山だった場合に、山へ散骨する場合もあります。
国有地など、個人の所有地でなければ許可を取る必要はありませんが、節度をもった散骨が絶対条件。
他の登山者の心情も考えて、人目につかないところで静かに行う必要がありますよ。
自宅の庭
自分が所有している土地なら誰の許可も必要ない、という考えもありますが、ちょっと待った!
自宅に散骨する場合、まず近隣住民への配慮が必要になってきます。
隣のお庭に遺骨が撒かれている…ということを快く思わない方もいますよね。
散骨のことを隠していたつもりでも、どこかで噂になって後々トラブルになってしまっては大変です。
また、いつか自宅を売却する際に、業者に散骨について告知しなければならない可能性があります。
「庭に遺骨が撒かれている家」となると、売却金額にも大きく影響してくると頭に入れておきましょう。
海に散骨するのは大丈夫そうですね。
逮捕されたらどうしようかと心配していました。
違法になる場合
- 遺骨が粉になっていない
- 土に埋める
- 墓標を建てること
このような場合、違法です!
遺骨が粉になっていない
散骨をする場合、遺骨を1~2mm以下の粉状にする必要があります。
十分に粉砕されておらず、遺骨とわかる状態で散骨を行った場合は「遺骨遺棄罪」に問われることもあります。
土に埋める
海への散骨の場合は心配ありませんが、山や自宅へ散骨する場合は、絶対に土に埋めてはいけません。
「墓地、埋葬等に関する法律」によって、遺骨を土に埋めることができるのは墓地のみと規定されています。
墓地以外の場所では、あくまで「遺骨を撒く」ことしかできません。
墓標を建てること
生き物のお墓を作った際、「○○の墓」という墓標を立てて目印にすること多いと思います。
しかし、この墓標を建てることも違法となるので注意してください。
散骨の方法や費用は?
遺骨を粉々にして、沖合いの海に散骨する…。
なんだか大変そうですね。
ここでは、遺骨の粉末化やさまざまな散骨方法について紹介していきます。
- 遺骨の粉末化
- 個別散骨
- 合同散骨
- 委託散骨
遺骨の粉末化
1~4万円程度
自分で自宅や山での散骨を行う場合でも、遺骨の粉末化は業者に依頼するのが無難です。
さきほど紹介したように、遺骨が粉々になっていないと違法となる可能性があります。
どれくらいの量の遺骨を粉末化するかによって、費用に大きく差が出ますよ。
個別散骨
10~50万円
一家族だけで船をチャーターして散骨を行います。
他の参加者がいないため、場所や日時の調整がしやすいというメリットがありますが、その分費用は高め。
業者によってセレモニー内容が異なるため、費用にも開きがあります。
合同散骨
10~15万円程度
数家族合同で船に乗り合い、散骨を行います。
場所や日時は限られますが、船のチャーター代などを抑えることができますよ。
委託散骨
3~5万円程度
親族は立ち会わず、業者のみで散骨を行います。
散骨証明書の発行や、写真を撮影してくれる業者が多いようです。
また、遺骨を乗せた船をお見送りできたり、逆に遺骨を自宅まで引き取りに来てくれるなど、業者によってオプションが変わってきますよ。
まず、遺骨を粉砕するため、業者に依頼しました。
遺骨を全部散骨してしまうのではなく、一部は小瓶にわけ、長男である父が自宅保管することに。
ただし、自宅に遺骨を長く置くのはよくないという迷信もあるため、ここの判断は個人で検討するといいでしょう。
実際父も、病気を患うようになり、慌てて近くの海に散骨すると、病気も回復したという不思議な出来事も・・・。
そして散骨は船も検討しましたが、波の状態によっては船が欠航になるということで、遠方から来る親戚の都合を合わせにくいため、海に実際に行って散骨することにしました。
冬場だったのもあり、海には人がおらず、粉砕した遺骨とお酒を叔父と父が代表で撒き、皆で手を合わせて終了。
粉砕した遺骨は、一瞬で溶けてわからなくなりましたよ。
皆バラバラな地域に住むものの、海はつながっています。
祖母の命日には、海に向かって手を合わせようと親戚一同誓いました。
まとめ
それでは、散骨についてまとめていきます!
- 散骨とは…火葬した後の遺骨を粉々にして海や山に撒くこと
- 主に散骨が行われる場所…海・山・自宅の庭
- 散骨は違法でないが、次のような場合は違法になることも
- 遺骨が1~2mmより大きい
- 土に埋める
- 墓標を建てる
- 方法や費用は?
- 遺骨の粉末化…1~4万円程度
- 個別散骨…10~50万円程度
- 合同散骨…10~15万円程度
- 委託散骨…3~5万円程度
散骨自体は違法でありませんが、周囲の人々に不快な思いをさせてしまっては故人も浮かばれません。
「業者に依頼する」「人目につかない場所で行う」等、節度をもって行うことが重要になってきます。