宗派を問わず、長く使える無難なものはあるのでしょうか?
いざという時に困らないよう、数珠を1つは持っておくのは大切だと思うわ。
それでは、数珠の種類に関して詳しく紹介するわね。
結婚すると親戚も増え、それにともない、葬儀や法事などに出る機会も多くなるもの。
そのため、常識ある大人として、宗派を問わず無難に使える数珠を持っておくのは大切です。
私の場合、母が嫁入り道具のひとつとして用意をしてくれましたが、正直その時はピンときませんでした。
しかし、これが大正解!いざ必要という時に慌てることもなく、母に大変感謝しています。
そこで今回は、数珠に関して、
- その種類
- 宗派での違い
- 房の種類
などを紹介するので、参考にしてくださいね。
数珠で宗派問わず使えるものはある?
「略式数珠」なら、宗派を問わずに使えます。
それでは、「略式数珠」はもちろん、数珠の種類に関して詳しく説明します。
数珠とは?種類や違いを説明!
種類を説明する前に、まず、数珠(じゅず)について説明しますね。
そうした方が「種類の説明」に移った際、わかりやすくなるので、少しおつきあいください。
数珠とは、「珠数」とも書き、「念珠(ねんじゅ)」とも呼ばれています。
もともとは、念仏を何回唱えたかを数える際に、1珠1珠ずつ繰るために用いられていました。
数珠の珠数は、108個 が基本です。
この108という数は、私たちの心にある108の煩悩(ぼんのう)を表す数とされます。
ちなみに、「煩悩」とは、心身を迷わせる欲望・心の迷いのことです。
しかし、私たちが実際使っている数珠の珠数は、108以外にも、持ちやすいように半分の54個・27個・108にちなんだ18など多くの種類がありますよ。
数珠が丸い輪になっているのは、仏の心を私たちの心中に通し、心が丸く素直になることを意味しています。
また、持ち主を守る厄除けのお守りともされ、仏と繋ぐ唯一の仏具です。
数珠の種類を説明すると、数珠には、
- 本式数珠(本連数珠)・・・宗派ごとに決まっている
- 略式数珠(片手数珠)・・・宗派を問わずに使える
があります。
それぞれ説明しますね。
本式数珠
本式数珠とは、各宗派ごとに決められた形の正式な数珠のこと。
本連数珠とも呼ばれます。
その宗派でのみ使うことができる数珠です。
宗派により、珠の数・形状・房の形などが異なりますが、一般には、珠の数は108で輪が二重になった二連数珠が主流となります。
略式数珠
略式数珠とは、宗派を問わず使える数珠のこと。
片手数珠とも呼ばれます。
珠の数は108を基本に、その半分などに減らしたものが多いようです。
種類が豊富で色や素材に決まりがなく、自由に選ぶことができます。
1つ持つなら、「略式数珠」がよさそうですね。
ただし、嫁ぎ先が仏事に熱心なご家庭なら、その宗派にあった数珠がよいかもしれないわね。
または、
- 家でのお葬式や法事などの場合・・・本式数珠
- 知人のお葬式などに参列する場合・・・略式数珠
というように、場面によって使いわけられるよう、両方あると安心かもしれません。
宗派がわかる場合、どのような数珠にするべきでしょうか?
宗派別での数珠を紹介!
数珠は仏教では欠かせないものとされています。
ご自分の宗派がわかる方は、受け継がれてきた信仰を尊重し、「本式数珠」を持つとよいでしょう。
それでは、宗派別に以下、
- 浄土宗
- 浄土真宗
- 天台宗
- 真言宗
- 日蓮宗
- 曹洞宗・臨済宗
にわけて、それぞれの特徴を紹介しますね。
浄土宗
浄土宗では、2つの輪を1つに繋いだような形状の数珠を使います。
日課珠数と呼ばれ、「私は1日に○○回、念仏を唱えます」と誓い、念仏を唱える回数を数える道具です。
これは念仏の数を大事にする浄土宗ならではの形となり、他の宗派にはない特徴となります。
浄土宗の数珠をつくってもらいました。これで嫁ぎ先の法事にも行けるぜー!白壇のいい香りも気に入った♪水晶は相性があるらしく、オススメできないって。色々あるんだなぁ… http://t.co/DJmqZL6o
— よーこ (@shino5797) October 6, 2011
やはり、嫁ぎ先の宗教にあわせて数珠を持たれたようですね。
浄土真宗
浄土真宗は煩脳具足(ぼんのうぐそく)のままで救われるという教義のため、数珠を繰って煩悩を消す教えがありません。
ちなみに・・・
煩脳具足(ぼんのうぐそく)とは、心をわずらわし、身を悩ませる欲望が備わっていること。
「煩悩」は、心身を迷わせる欲望や心の迷い、「具足」は、備わっていることを意味。
法具として大切なものではありますが、素材や珠の数、形状に決まりの少ない特徴があります。
男性用と女性用では、房や珠の構成などに違いがありますよ。
男性用は、一般的に1重タイプの紐房、片手念珠を用い、本式数珠を用いないのが一般的。
女性用は、本願寺派と大谷派で以下の様な違いがあります。
- 本願寺派・・・片手念珠を用いるのが好ましいとされ、本式数珠を用いないことが多い
- 大谷派・・・片手念珠や、本式数珠である「八寸門徒」を用いる
「八寸門徒」 とは、浄土真宗における女性用本式数珠。
二連数珠で輪の部分に主珠108珠・親珠2珠・四天珠4珠を用い※4本の房つきです。
また、房に特徴があり、数取りが出来ない様にと蓮如が考案したとされる独特な結び方、「蓮如結び」が施されています。
※「主珠」・「親珠」・「四天珠」などの名称に関してはのちほど説明しますね。
母が亡くなった時、母方の婆様から頂いた数珠―青く囲んだ所は「蓮如結び」と呼ぶと今日、初めて知った。どうやら真宗独特の様式らしい。考案は蓮如さん。念仏回数数え装置としての数珠を否定した結果だとか…いっそ数珠自体を(ry…ああ、そんな事になったら仏具屋さんが可哀そうな事になりそう。 pic.twitter.com/dnufjhqieI
— 無面目 (@hieda02rou) January 8, 2017
女性用には、「蓮如結び」という浄土真宗独自の形式があります。
天台宗
天台宗の数珠は、扁平な平珠で珠が扱いやすくなっているのが特徴です。
天台宗用の本式数珠は、輪の部分に主珠108珠・親珠1珠・四天珠4珠が用いられます。
また、弟子珠には20の平珠と10の丸珠がついていますよ。
念仏を唱える際には、一遍唱える毎に主珠を数えていき、一周すると平珠の弟子珠を1つ数え、それも終わると丸珠の弟子珠を数えます。
【天台宗用の数珠
(生命の樹)】女性用
&
【数珠の入れる袋】を購入しました。お気にいりです☆〃 pic.twitter.com/Mbm8CC5fa1
— miya.yo (@49December18) July 24, 2016
平珠なのがわかりますね。
真言宗
真言宗ではとくに数珠を大切にするといわれます。
真言宗用の本式数珠は、輪の部分に主珠108珠・親珠2珠・四天珠4珠が用いられますよ。
長い一連の珠数を二重にして用い、その形状から振分(ふりわけ)珠数とも呼ばれます。
写経2枚してからにわかに思い出した書類作成2件。
ふと思い出したモノ捜索。出て来ました 笑
随分前に洛陽廻った時の布袋さま。高野山真言宗の数珠、五大力さんの新旧。
どれも違うのが面白い。高野山真言宗の数珠はダンナ曰く四国廻る時に使うと今井半さんで買ったもの。いつ行けるかねぇ…。 pic.twitter.com/gD0o6mQ6wl— ゆか@豆腐メンタル (@pettorigogo) August 13, 2019
長い数珠ですね。
日蓮宗
数珠は法華(ほっけ)数珠とも呼ばれ、祈祷する際に、木剣と数珠を組みあわせたものを打ち鳴らします。
そのため、堅く丈夫な黒檀や紫檀などが主流でしたが、今では水晶など、さまざまな素材もあるようです。
日蓮宗用の本式数珠は、輪の部分に主珠108珠・親珠2珠・四天珠4珠が用いられます。
また、親珠についている房は、片方は2本、もう片方は3本。
このうち3本の方についている短い1本には「数取珠」と呼ばれる10個の珠がついるのが特徴です。
日蓮宗の修法では密教と同じく早九字を切るものがあり、通常なら臨兵闘者皆陣列在前と唱えるところ、「妙法蓮華経序品第一」と唱えるらしい。これ大変興味深いな。木剣と数珠を打ち合わせ、音を鳴らして生霊や魔を祓う。俗に音切りというものでしょうか。いや〜日蓮宗おもしろいな pic.twitter.com/rezk4CWsdy
— と̆̈そ̆̈て̆̈ゃ̆̈ (@toso_kamuro) August 25, 2018
木剣と打ちあわせるため丈夫そうな数珠ですね。
曹洞宗・臨済宗
禅宗(曹洞宗・臨済宗)では、念仏などを唱えず、自己と向きあう座禅を重んじます。
そのため、他の宗派にあるような作法などは存在しません。
一般的に、主珠が108珠の一連珠数を二重にして用います。
曹洞宗用の本式数珠は、輪の部分に主珠108珠・親珠2珠・四天珠4珠が用いられますよ。
また、「百八環金」と呼ばれる金属製の環が通してあります。
ちなみに、「なぜ百八環金がついているのか?」・・・理由はいまだにはっきりわからないようですよ。
その理由は、百八環金の由来について書いた文献がまったく残っていないからのようです。
いろいろな諸説はあるようですが、ここでは省略させていただきます。
臨済宗用の本式数珠は、輪の部分に主珠108珠・親珠1珠・四天珠4珠を用いられます。
こちらには、金属の輪はつきません。
以前から考えていた、曹洞宗本式数珠です。 偶然ではありますが、母親が亡くなってから丁度1か月目に、届きました(^^) 一緒に数珠袋も購入。 ここ数年、災難がありましたので、インド翡翠のストラップ数珠も購入(^^) pic.twitter.com/vCDUKCLy
— JG8DIV (@JG8DIV) June 5, 2012
曹洞宗用の本式数珠には、このように「金属製の環」が通してあることがわかりますね。
写真は檀家寺(臨済宗)から頂いた記念品。木製ですので火葬しても骨につかないですわね。石や真珠、珊瑚の数珠は、火葬に不向きです。
学会員の皆様は、まずご愛用の念珠(他宗派とは違う特徴がございます)をお持ちくださいますので、助かります。 pic.twitter.com/Ec7fs1lUIP— ふくちゃん (@MF6132) March 15, 2015
火葬のことまでお考えの方もいるようです。
上記は一般的な本式数珠のおおまかな説明となります。
実際の購入・使用に際しては菩提寺などに確認をし、専門店で相談してください。
数珠の名称
正式な「本式数珠」は、
- 親珠 (おやだま)・・・数珠の中心にある房つきの珠で、「釈迦如来」・ 「阿弥陀如来」を表す
- 主珠 (おもだま)・・・108の珠で、108あるとされる「煩悩」を表す
- 四天珠(してんたま)・・・主珠と主珠の間にある4つの珠で、「四天王」・「四菩薩」を表し、略式の数珠では2つ(二天珠)となる
- 弟子珠(でしだま)・・・房につく小珠20個 (日蓮宗のみ40個)で、「十大弟子と十波羅密」「十大弟子と十菩薩」を表す
- 露珠(つゆだま)・・・弟子珠の下に着く露型の珠で、弟子珠を留めるための珠
- 浄明珠 (じょうみょうだま)・・・房の一番上、親玉の下にある珠で「菩薩」を表す
- 中通しの紐・・・数珠の輪になる珠を繋いでいる紐で、「観音菩薩」表す
によって構成されますよ。
手書きなため、珠の数や形が多少異なりますが、ご了承ください。
なお、名称には、「珠」以外にも「玉」の字も用いられますが、本文では、「珠」で統一しています。
男女別での違いを紹介!
男性用
手の大きさにあわせて、直径10mm以上という大きな珠が使われます。
色は黒や茶といった落ち着いたものが一般的。
略式数珠には、おもに「22珠」・「20珠」・「18珠」があり、珠の数が少ないほど1珠の大きさが大きくなります。
数珠をはじめて購入する場合は、22珠を選ぶ方が多いようです。
珠が大きくなるほど、貫禄が出ますよ。
略念珠について聞かれた時に役立つとっさに一言
「略念珠は石と木があるけどどっちでもいい。22玉式20玉式18玉式と数に反比例して大きくなっていくので迫力と貫禄ある数珠がいいなら18玉式がおすすめ」
「お、おう。。。」 pic.twitter.com/KJA34ri2in— 新米先達mayan (@mayan1969) November 15, 2016
珠が大きいとたしかに貫禄が増しますね。
女性用
女性の手の大きさにあわせて、直径8mm以下の小さな珠が使われています。
略式数珠には、おもに「7ミリ」・「8ミリ」があり、大きさで印象が変わりますよ。
- 「7ミリ」・・・女性らしいデザイン
- 「8ミリ」・・・落ち着いた印象で高級感
女性用の大きな特徴は、色の種類が多いことでしょう。
珠の色にあわせて、房も明るい色をしています。
P06Dec14 数珠 女性用 約8ミリ 七宝焼き(黒) 本水晶 正絹2色房【略式数珠/京念珠/念誦… について「いいね!」と言っています。[楽天] http://t.co/9AH4NP6bTx pic.twitter.com/mNvOrKexQi
— むら (@naomumin) January 7, 2015
数珠の房にも種類がある?
数珠の房にも種類はあります。
それでは、種類と素材などに関して説明しますね。
種類
房(ふさ)の種類には、大きくわけて以下の4つがあります。
- 頭付(かしらつき)房
オーダー頂いた、ラベンダーアメジストの略式(片手用)数珠✨
とても綺麗な色合いで素敵です💕 pic.twitter.com/uC2CQe5gwk— まぁちん (@Ragdoll_lovely) February 19, 2019
こちらが、頭付(かしらつき)房のイメージです。
- 紐(ひも)房
- 切り房
- 梵天(ぼんてん)房
日蓮宗 数珠 女性 二連 沈香(じんこう)8寸 共仕立 梵天房(ブロンズ色)https://t.co/2OErUYGMok pic.twitter.com/aGqJM6wm7E
— たべれない (@igr0l) March 31, 2016
丸みが特徴です。
略式数珠であれば形や色はとくに決まりがありません。
本式数珠では、房に「弟子珠(でしだま)」・「露玉珠(つゆだま)」・「浄明珠(じょうみょうだま)」といった小さな珠がつくもの、房が3つにわかれるものなどもあります。
ちなみに、大きくわけて、
- 浄土宗・真言宗・天台宗・日蓮宗・・・梵天房
- 浄土真宗・曹洞宗・臨済宗・・・紐房
となります。
素材
房の素材には、
- 正絹(しょうけん)・・・天然の絹(シルク)
- 人絹(じんけん)・・・化学繊維
正絹の方が高級品ですが、見た目はほぼ同じです。
ただ、シルクの方が手触りはよく、独特の光沢としなやかさがありますよ。
また、良質の房は、1本1本が切りっぱなしではなく、撚りが掛けられ糸が解れないように加工されています。
色
葬儀用に使用する数珠に関しては、房の色も比較的自由です。
ただし、これは男性のみで、女性の場合は純粋無垢をイメージさせる「絹の白房」がよいとされます。
そのため、お通夜や葬儀には白色の房とし、忌明け後には色房にする方も多いようです。
また、地方によっては、珠や房の色に決まりがある場合も。
そのため、購入される前にご家族や年長者に相談することをオススメします。
数珠の「色」や「価格」に関しての記事もどうぞ!
→数珠の選び方は?何色でも好きなものでいいの?
数珠がない場合の調達方法などに関する記事も参考ししてくださいね。
→葬式なのに数珠がない!これってヤバイ?どうしたらいいの?
まとめ
今回のポイントをまとめます!
- 数珠には、本式数珠(宗派ごとに決まっている)、略式数珠(宗派を問わずに使える)がある
- 数珠とは、「珠数」とも書き、「念珠(ねんじゅ)」とも呼ばれている
- 数珠の珠数は、108個 が基本
- 数珠には男性用・女性用があり、おもに珠の大きさが異なる
- 房(ふさ)の種類には、大きくわけて、頭付(かしらつき)房・紐(ひも)房・切り房・梵天(ぼんてん)房がある
数珠は、葬儀や法要などに使うだけでなく、その身を守るものともされます。
そのため、数珠を購入する際は、一生使うものと考え、納得したデザインのものを選らびましょう。
ただ、本式数珠だと決まりごともるため、本式数珠に加え、略式数珠も持たれることをオススメします。