湯灌の儀というものをご存知ですか?
私、実際にこの目で見るまでまったく知りませんでした。
いきなり目の前で行われ出した光景に、なんといっていいのかわからなくなったのを覚えています。
お風呂に?
どういうこと?
そこで今回は、湯灌(読み方は「ゆかん」)について
- やり方
- 立会いの服装
- 費用
- 必要か?
などを解説したいと思います。
湯灌とは?
生まれたての赤ちゃんを産湯に入れるように、亡くなった故人を天国へと送り出す際に、身体や煩悩を清めるために行うものが湯灌です。
湯灌の歴史は古く、古代インドで国王即位式の際、海の水を集めて頭頂に灌(そそ)いだ灌頂(かんじょう)の儀式が仏教界でも出家の際に儀式などとして行われるようになり、それが中国を経て日本へ伝わったといわれています。
「父親の死体を洗う家族」(1875年)。明治時代の手彩色の古写真です。日本には、湯灌といって、葬儀の際に遺体を入浴させ、洗浄する作業があります。腐敗が進み、体液が漏れ、出血したり、皮膚が変色した遺体を清めるための儀式です。書肆ゲンシシャでは死体の写真集を扱っています。 pic.twitter.com/FajWgYVeoF
— 書肆ゲンシシャ/幻視者の集い (@Book_Genshisha) 2018年3月17日
湯灌のやり方は?
- 湯灌をとり行うスタッフが、縦長プールのような浴槽を用意(棺くらいの大きさ)
- 外にトラックが到着し、窓からホースを入れ、浴槽に湯を注ぐ(薬品の入ったような湯)
- 「ただいまから、湯灌の儀をとり行います」とスタッフが挨拶をする
- 故人にバスタオルをかけ、服を脱がせる
- 故人を浴槽に入れる
- シャワーを使い、頭から足先までを洗う
- 浴槽から出し、身体を拭く
- 故人に着物(希望のお召し物)を着せる
- ドライヤーできれいに乾かし、化粧を施す
ここまでが、私が目にした湯灌の儀でした。
祖母が亡くなった際におこなったたので、スタッフも女性二人のみでしたよ。
この湯灌の儀には、地方によってもやり方が違うようで、
- シャワー浴湯灌式
- 身体を拭く清拭湯灌式
- 身体を拭かない清浄式
などがありますが、病院においてアルコールで身体を拭くことを湯灌と呼ぶこともあります。
湯灌の儀に立会いは必要?服装は?
ただ、絶対に立ち会わなければいけないというわけではなく、家族が立会いを断ることもあるでしょう。
大きなタオルで身体を隠すといっても、私が立ち会った際にも、チラリと身体が見えることがありました。
立ち会う人の服装は?
基本的にはどんな服装でもかまいません。
私が立ち会った際は、通夜前でしたので、皆喪服でした。
自宅で行われる場合は、普段着でもかまわないでしょう。
湯灌の費用相場は?
- 清拭湯灌式・清浄式→3~5万円前後
- 清拭湯灌式・浴槽を持ち込む湯灌式→5~10万円前後
ちなみに祖母の時は、葬儀のセットプランに組み込まれていたものだったので、湯灌だけがいくらするもの・・・という話は伺っていないのですが、葬儀自体は300万円近くする相場よりも高いものでした。
湯灌の儀は必要か否か?
故人である祖母は、入院生活が長くお風呂にも入れていなかったので、すごく気持ち良さそうな顔をしているような気がしました。
本日無事に湯灌の儀式を終える事が出来ました。自宅に戻って来た時は、ドライアイスで冷やされて真っ白な顔でしたが、今日はお湯で洗って頂いたのでニッコリ笑顔になっていました。もう亡くなっているのに不思議ですが最後の笑顔が見られて安心しました。沢山のお悔みのお言葉をありがとうございました pic.twitter.com/LBiNtFj0o2
— soratoumi(ソラミ) (@2015125en) 2018年1月12日
こちらの方も、そう感じられたようですね。
ですが、立会いをした祖母の姉妹たちは、「晒し者みたいに皆の前で・・・」と、お怒りモードだったんです。
女性、とくに若い方の場合は、亡くなった後とはいえ人前で身体を洗われるということに抵抗がある人は多いかもしれません。
【湯灌の話】僧侶が監修した葬儀の本に「死を忌み嫌わない、身内の死を受け入れる意味として遺族による湯灌は大事」とあったけれど、湯灌の習慣が薄らいでいる理由は「いくら親でも亡くなった人の体に触れるのは気味が悪い」ではなく「亡くなった親の裸姿をわざわざ人前に晒したくない」では。
— 大垣教区大泉寺 (@NishiminoDaisen) 2018年2月15日
実際、何度も通夜前から参列したことのある私でも、湯灌の儀を実際に目にしたのはこれがはじめてだったので、浴槽まで使った湯灌の儀を行う方は少ないでしょう。
そう考えると、身体を拭いてもらう程度でいいのかもしれない・・・そう思いました。
費用もかかりますしね。
最後に
まとめます。
- 亡くなった故人を天国へと送り出す際に、身体や煩悩を清めるために行うものを湯灌という
- 専属のスタッフが、専用の浴槽で故人の身体を洗ってくれる
- 親族が立ち会う
- 親族の服装は自由
- 費用相場は、清拭湯灌式・清浄式→3~5万円前後、清拭湯灌式・浴槽を持ち込む湯灌式→5~10万円前後
- 浴槽を使った湯灌を行う人は少ない
亡くなった祖母は湯灌をやってもらってよかったのかどうか、これは故人でないとわからないことですが、お風呂が好きな祖母だったので、気持ち良さそうに見えたのは・・・錯覚ではなかったような気がしますよ。
ただ、私が亡くなった際にもやってほしいかどうかというと・・・私は他人に全身を洗われるのにも抵抗がありますし、遠慮したいかなと思います。