大切なのは、出席された方へ感謝やねぎらいの意を手短に伝えることよ。
しかし、具体的な例文があったほうがわかりやすいと思うので紹介するわね。
精進落としの挨拶に続いて行なわれる献杯(けんぱい)、ともにどのような挨拶にするべきなのか悩む方も多いと思います。
そこで今回は、精進落とし・献杯に関して、
- 精進落としの挨拶例文
- 献杯の挨拶例文
- 精進落としお開きの挨拶例文
などを紹介しますので、参考にしてください。
精進落としの挨拶例文
精進落としとは、一連の法要が済んだあとに行う会食のことです。
忌明けの意味や遺族がお坊さんを接待するという意味も込められており、僧侶や弔問者、親族をはじめ、お世話になった方などにお礼として振舞われます。
一般的には、初七日法要を終えたあとに行なわれることが多いようです。
しかし、近年は、葬儀と一緒に初七日法要を行うこともあるため、葬儀後に精進落としが出される場合も多くなっています。
この精進落とし開始前に、喪主や親族代表者がお世話になった方へ挨拶をする必要がありますので、その挨拶例文をいくつか紹介しますね。
なお、開会の挨拶では、出席者に感謝やねぎらいの意を簡潔に伝え、葬儀がとどこおりなく終えられたことを報告しましょう。
例文1 一般的な挨拶
まずは、一般的に使える挨拶例です。
皆様、本日は大変お世話になりました。
皆様のお陰で葬儀一切、無事済ませることができました。
皆様さぞかしお疲れのことと存じます。
誠にささやかではございますが、精進落としの席をご用意いたしました。
故人の思い出などを話しながら、ゆっくりとお過ごしいただきたく存じます。
本日は、誠にありがとうございました。
例文2 喪主として
喪主としての挨拶例です。
皆様、本日は誠にありがとうございました。
お陰様で故○○○○の葬儀、告別式もとどこおりなく終えることができました。
これもひとえに皆さまのご厚意とお力添えのお陰です。
心よりお礼申しあげます。
皆様さぞかしお疲れのことと存じます。
心ばかりではございますが、皆様への感謝と慰労の思いを込めまして食事のご用意をさせていただきました。
故人の思い出話などをしながら、ゆっくりとおくつろぎください。
本日は、ありがとうございました。
例文3 喪主として
こちらも、喪主としての挨拶例です。
皆様、本日は誠にありがとうございました。
故人の娘として、心からお礼申し上げます。
今後も、亡き母同様、変わらぬおつきあいを頂きますようお願いいたします。
誠にささやかではございますが、精進落としの用意をいたしました。
ごゆっくり召しあがりながら、故人の思い出などお聞かせいただければと存じます。
本日は、長い時間本当にありがとうございました。
例文4 親族を代表して
親族代表としての挨拶例です。
皆様、本日は大変お世話になりました。
お陰さまで、葬儀、告別式を無事に終えることができました。
これもひとえに皆さまのご厚意とお力添えのお陰でございます。
ささやかではございますが、精進落としの用意をいたしましたので、おくつろぎのうえ召しあがってください。
今後とも変わらぬご厚情を賜りたく、親族を代表してお願い申し上げます。
簡単ではございますが、お礼のご挨拶といたします。
本日は、誠にありがとうございました。
精進落としの挨拶が終わると、献杯の発声をして食事を始めます。
献杯の挨拶例文
献杯とは、相手に敬意を表して杯を差し出すことです。
弔事では、故人に敬意を表し、死を悼んで杯を捧げる場合に献杯を行ないます。
なお、精進落としの挨拶に続き、献杯の挨拶をするのが一般的です。
献杯の挨拶は、親族の年長者や故人と親しかった人、また、地域によっては隣組の組長さんにお願いする場合もあります。
しかし、喪主やその兄弟などがするケースも多いようです。
もし、どなたかに献杯をお願いする場合には、事前に依頼しておきましょう。
ちなみに、献杯は乾杯と同様に杯は差し出しますが、グラスを打ちつけて音を出すのは厳禁ですし、「献杯」と静かにいいます。
また、拍手も行いません。
経験がないとなかなかイメージできないと思います。
こちらの動画を参考にしてみてください。
献杯のときにも簡単な挨拶をしますので、その際の例文も紹介しますね。
なお、献杯の挨拶も故人を偲ぶために行われるものです。
そのため、挨拶には故人を偲ぶ言葉やお悔やみの言葉を入れるようにしましょう。
例文1 喪主として
喪主としての挨拶例です。
本日は亡き〇〇のために皆様にお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
おかげ様で無事に葬儀、告別式を済ませることができました。
皆様に囲まれ、母も大変喜んでいることと思います。
ささやかではございますが、精進落としのお膳をご用意させていただきました。
故人を偲びながら、ゆっくりとおくつろぎいただければと思います。
本日は、誠にありがとうございました。
「献杯」。
ありがとうございました。
例文2 喪主として
こちらも、喪主としての挨拶例です。
故人の長女、◯◯でございます。
本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
皆様方には、温かいご支援をいただきましたことを心より感謝申し上げます。
母の懐かしい思い出を皆様と語ることがなによりの供養になると思います。
誠にささやかではございますが、精進落としを用意いたしております。
お時間の許す限り、ごゆっくりお召し上がりください。
それでは、母の冥福を祈って、「献杯」。
ありがとうございました。
例文3 故人の友人として
友人としての挨拶例です。
まず自己紹介(故人との関係)をし、故人との思い出話を一言添え、ご遺族へ労わりの言葉を忘れないようにしましょう。
ご紹介をいただきました〇〇と申します。
△△さんとは長いつきあいでしたが、このような突然のお別れをすることになるとは、今でも信じられない気持ちでおります。
△△さんとは学生の頃から親しくさせてもらい、いつも相談にのってもらう頼もしい存在でした。
ご遺族のご心中を思うと言葉もございませんが、故人を偲び、冥福を祈って、「献杯」をさせていただきたいと思います。
「献杯」。
ありがとうございました。
例文4 故人の上司として
上司としての挨拶例です。
こちらも、まず自己紹介(故人との関係)をし、故人との思い出話を一言添え、ご遺族へ労わりの言葉を忘れないようにしましょう。
ご紹介をいただきました、〇〇株式会社の〇〇でございます。
△△さんとは同じ部署で、私が上司という関係でした。
△△さんはいつも明るく、職場の雰囲気を和ませてくれるなくてはならない存在でした。
また、仕事においても頼りになる大変優れた人物であり、皆からの人望も厚いものでした。
その彼女がもういないことは残念でなりませんし、会社の者もみな同じ気持ちでおります。
ご遺族の胸中を思いますと、言葉もございませんが、故人を偲びまして、御霊前に供養の杯を捧げたいと思います。
それでは、これより献杯をさせていただきます。
「献杯」。
ありがとうございました。
例文5 隣組の組長として
隣組組長としての挨拶例です。
こちらも、まず自己紹介(故人との関係)をし、故人との思い出話を一言添え、ご遺族へ労わりの言葉を忘れないようにしましょう。
〇〇地区組長の〇〇と申します
献杯のご挨拶を述べさせていただきます。
△△さんは信望も厚く地域にとっては大きな存在でした。
その△△さんがこうして旅立たれることに、深い悲しみがこみあげております。
ましてやご親族様にありましては、なおのことと、ご推察申し上げます。
これからも隣組として、可能な限りご支援させていただきます。
それでは、△△さんのご冥福をお祈りし献杯致したいと思います。
「献杯」。
ありがとうございました。
精進落としお開きの挨拶例文
精進落としお開きのタイミングを見はからい、喪主または親族代表者が精進落とし締めの挨拶をします。
感謝の気持ちを伝えるために必要な最後の挨拶となりますから、準備を怠らないようにしてください。
また、この時点で、納骨や法要のスケジュールが決まっていれば出席者に伝えておきましょう。
それでは例文を紹介します。
例文1 喪主としての挨拶
喪主としての挨拶例です。
皆様、そろそろお時間となり、皆様もお疲れのことと思いますので、本日はこれにてお開きとさせていただきます。
長い時間、最後までお残りいいただき、本当にありがとうございました。
こうして皆様にお集まりいただき、故人もさぞかし感謝いたしていることと存じます。
なお、遺されたわたくしたちもまだまだ未熟者でございます。
今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
本日は、誠ににありがとうございました。
例文2 喪主としての挨拶
喪主としての挨拶例です。
皆様、お話のはずんでいるところを恐縮ですが、そろそろお開きとさせていただきたいと思います。
皆様に惜しんでいただきいただき、母も喜んでいることと存じます。
母亡きあと、家族一同助けあっていきたいと思っております。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
どうぞお気をつけてお帰りください。
本日は長い時間、最後までおつきあいいただきまして、誠にありがとうございました。
例文3 親族代表としての挨拶
親族代表としての挨拶例です。
皆様、本日は誠にありがとうございました。
お名残惜しゅうございますが、長くお引き止めしては申し訳なく存じますので、このあたりで終了させていただきたいと存じます。
今後とも変わらぬご厚情を賜りたく、親族を代表してお願い申し上げます。
2日間にわたる長い間、ほんとうにありがとうございました。
以上、挨拶の例文を紹介しましたが、その際に注意する点がありますので、次に紹介しますね。
精進落とし・献杯の挨拶文での注意点
まず、忌み言葉(いみことば)を使わないように注意しましょう。
「忌み言葉」として、
- 重ね言葉
- 不吉な言葉
- 不幸が続くことをイメージさせる言葉
がありますので、それぞれの例を紹介しますね。
重ね言葉の例
- 重ね重ね
- 度々
- いよいよ
- ますます
不吉な言葉の例
- 消える
- 落ちる
- 数字の四(死)・九(苦)
不幸が続くことをイメージさせる言葉の例
- 繰り返し
- 再び
- 続いて
- 追って
また、「死んだ」という言葉も遺族に対する配慮がなく失礼ないい方です。
いい換えとして、「亡くなる」・「逝く」・「永眠する」・「天寿をまっとうする」・「旅立つ」を用いるようにしましょう。
たとえば・・
「往生」・「供養」・「成仏」などは、仏教用語となりますので、キリスト教や神道のお葬式に参列する時はこれらの言葉を使わないように注意しましょう。
ちなみに、「御霊(みたま)安らかに」という表現は神道、キリスト教、どちらの場合でも使うことができます。
また、キリスト教では「死」の表現として、「天に召される」とするのが一般的です。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
- 精進落としとは、一連の法要が済んだあとに行う会食のこと
- 精進落とし開会の挨拶では、出席者へ感謝やねぎらいの意を簡潔に伝え、葬儀がとどこおりなく終えられたことを報告する
- 献杯とは、相手に敬意を表して杯を差し出すこと
- 献杯は乾杯と同様に杯は差し出すが、グラスを打ちつけて音を出すのは厳禁であり、拍手も行わない
- 精進落としお開きのタイミングを見はからい、喪主または親族代表者が精進落としの締めの挨拶をする
- 挨拶の際に「忌み言葉(いみことば)」を使わないようにし、宗教による違いもあるので言葉選びに注意する
精進落としの会食は最後に設定されていることが多く、皆さんもお疲れのため、挨拶はあまり長くならないよう心がけるのも大切です。
今回の例文では、一般的であたり障りないものを紹介しました。
お集まりくださった方々との関係によっては、飾らない言葉のほうが印象のよい場合もありますので、その辺は柔軟に言葉を選らばれてくださいね。