やっぱり、地元の知り合いが多いから、最後に一目見てもらって火葬は地元でと考えているんだけど・・・。
そこで「エンバーミング」という言葉が、説明される中で出てきたものの、その意味がわからなくて。
そんな時は、儀さんの出番よ!
解説いたします。
専門用語が出てくると、ピンとこないまま話は続いて、結局後からモヤモヤが残ることに。
エンバーミング。
なかなか聞き馴染みのない言葉ですよね。
そこで今回はこのエンバーミングについて
- 意味
- 費用
- 方法
- 効果
を、わかりやすく解説したいと思います。
エンバーミングとは?
アメリカやカナダなど、海外では一般的なエンバーミング。
日本語で遺体衛生保全といいます。
エンバーマー(Embalmer)と呼ばれるIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)のエンバーマーライセンスを取得した者や医学資格を有した医療従事者によって、化学的・外科学的に遺体を処置されることです。
どうしてそんなことしなくちゃいけないの?
たしかに、意味を知ることが重要です。
エンバーミングには、
- 消毒・殺菌
- 腐敗の防止
- 修復・化粧
- 長期間保存(10日〜2週間程度が基本ではある)
の役割があります。
遺体は、そのままの状態では時間が経つにつれ、腐敗が進むということはわかりますよね?
腐敗が進むと、遺体はミイラ化が進み、変色・変形・雑菌繁殖などが進んでしまうのです。
とくに、遠方へご遺体を輸送するには時間を要するため、このエンバーミングをしてからというのが基本で、国によってはそれが義務化されているところもあります。
エンバーミングをすることによって、そんな時間が経つにつれ生じる腐敗を食い止めることができ、見た目的・衛生的にも保つことができるんです。
やはり、腐敗した姿ではなく、生前通りのきれいな姿でお別れしたいですよね?
そうした遺族、葬儀参列者の精神的ショックも和らげることができるのです。
それじゃいけないの?
それでは賄えないくらい時間を要する場合に用いられる方法なんです。
時間を要すると、遺体内で腐敗が進む雑菌繁殖などが進んでしまうことは、第三者へ感染症を広げてしまうことにもつながり危険でもあります。
ただ、日本では海外などと異なり、劣悪な環境のもと保管されるわけではないため、感染症拡大の心配は少ないものの・・・
時間を要する際には念のため、安心・安全のためエンバーミングをすることがすすめられているんです。
法律的問題
本人またはご家族の署名による同意に基づいて行うこと
IFSAに認定され、登録されている高度な技術能力を持った技術者によってのみ行われること
処置に必要な血管の確保および体腔の防腐のために最小限の切開を行い、処置後に縫合・修復すること
処置後のご遺体を保存するのは50日を限度とし、火葬または埋葬すること
法律で定められている施設でのみしか行えない、方法や期間の限度も定められているというわけです。
エンバーミングの問題
- 「この猛暑では、遺体の腐敗が進むので、エンバーミングをしたほうがいい」
- 「エンバーミングをしなくては、火葬までもたない」
そういわれ、意味もわからないままサインを要求され、高額請求されるという問題です。
- 「実際エンバーミングをしなかったため、3日目には腐敗が進み、見た目が変わってしまいショックを受けた。」
- 「ドライアイスとエアコンの温度を下げるだけで、翌日には火葬するのだから大丈夫だったはず。」
結果的には、満足・不満、両極端な意見があります。
ただし、先ほど述べました通り、エンバーミングを行える施設には決まりがあるため、下手なことはされない。
必ずご遺族の了承が必要ということもあるので、こういった問題から考慮して決めるのがいいでしょう。
エンバーミング費用とは?
先ほど述べました通り、エンバーミングはどこでもできるわけではありません。
日本国内では58カ所(2018年3月時点)。
その限られた施設でのみ行えるエンバーミングは、15〜20万円ほどかかります。
エンバーミングの遺体処理方法は?
- ご遺体の体の中に残っている飲食物や残滓(残りかす)、体液や血液等を吸引除去
- 動脈に、防腐剤を注入
この時点で、保冷する必要なく、常温でも遺体を保存できるようになります。
また、その後
- 全身の洗浄
- 美容的処置(化粧など)
- 衣装装着
という流れになり、通常葬儀前に行われるエンゼルメイクや湯灌も、このエンバーミングに含まれるのです。
以下の工程が含まれますので、参考までに。
エンバーミングをするとどうなる?
何か普通と違ったりするのかしら?
経験者(ご親族でされた方がいた)の声をお伝えします。
- 「保冷の必要がなくなるため、最後の時間、故人とふれあい同じ布団で眠れた。」
- 「室内の温度調節を考える必要なく、最後まで棺の蓋を開けた状態で過ごせた。」
- 「事故で損傷が激しかったものの、きれいな姿を最後に拝めた。」
- 「自宅で、愛用布団の上で最後の時間までゆっくり過ごせた。」
この言葉こそが、エンバーミングのよさを物語っているように感じます。
最後に
ポイントをまとめます。
- 日本語で遺体衛生保全という
- IFSAのエンバーマーライセンスを取得した人や、医学資格を有した医療従事者が行う遺体処理のこと
- 消毒・殺菌、腐敗の防止、修復・化粧、長期間保存の役割がある
- 時間が経つにつれ生じる腐敗を食い止めることができ、見た目的・衛生的にも保つことができる
- 法律で定められている施設でのみしか行えない、方法や期間の限度も定められている
- 15〜20万円ほど
- 体内処理をし、防腐剤を動脈に注入、エンゼルメイク・湯灌のような処理を行う
- エンバーミングをすると、常温でも遺体を保存できる
いかがでしたでしょうか?
海外のような劣悪な環境でないから。
そう思われ躊躇する方も多くいらっしゃいますが、徐々に広がりつつあるエンバーミング、必要に応じて検討されてはいかがでしょう。