そもそも、「神棚封じ」のこともあまりわからなく困っています。
それでは、意味ややり方など詳しく説明するわ。
「神棚封じ」と聞くと、なんとなく神棚を封じるとはわかりますが・・・
「なぜ?」
「どんな意味があるの?」
と疑問に感じるのではないでしょうか?
実際私も、神道に縁がなく、親戚の者が「神棚封じ」を忘れていた・・・
と聞いて、「どういうことなの?」と疑問に思った経験があります。
そこで今回は、神棚封じに関して、
- その意味
- やり方
- 期間
- 誰がやるのか
- 忘れた場合
を紹介しますので、参考にしてくださいね。
神棚封じとは?
神棚封じとは、家に神棚のある家族に不幸があった場合、神棚の正面に半紙を貼り、神棚を封印することです。
読み方は、「かみだなふうじ」となりますよ。
神道では、神様を祀る神棚は尊いものとされ、そこに死の穢れ(けがれ)がいかないようにと、考えられています。
そのため、神棚を故人の死から遠ざける目的で神棚を封じるのです。
ちなみに、穢れの由来は「気枯れ」からきており、「汚いもの」という意味ではありません。
気が枯れるというのは、生命力や活力が枯れるということ。
つまり、「死」=「生命力がなくなった状態」となるため、「気枯れ=穢れ」とされます。
なお、お葬儀を神式で行わない場合でも、自宅に神棚がある場合は神棚封じを行ってください。
また、神棚封じを行うのは、お葬式を出した家族のみとなります。
そのため、お葬式を行わなかった家族は、神棚封じも行いません。
祖霊舎(それいしゃ)を封じる必要はありません。
祖霊舎とは、先祖の魂が宿っているもので、中にはお仏壇でいうお位牌にあたる「霊璽(れいじ)」が収められています。
ちなみに、
- 神棚・・・「神様」をお祀り
- 祖霊舎・・・「祖霊(ご先祖様)」をお祀り
する点が違います。
神棚に祀られているのは高貴な神様となるので、故人や先祖を一緒に祀ることはできません。
そのため、故人や先祖(祖霊)は、神棚とはわけて祖霊舎に祀る必要があるのです。
ただし、祀る場所が違うのみで、祀り方やお参りの作法などに大きな違いはありません。
祖霊舎は仏教における仏壇と同じようなものです。
ここには「先祖の魂」が祀られていますが、神棚とは異なるため封じる必要はありません。
やはり封じたほうがいいのでしょうか?
神道と仏教では死に対する考え方が異なります。
そのため、仏壇は封じる必要はありません。
ただし、ご家庭や地域などによっては、閉める場合もあるようです。
もしよくわからない場合は、親族や葬儀会社のスタッフなどに相談するとよいでしょう。
仏教においてこの期間のお参りは、故人への追善供養になるとされます。
追善供養とは、遺された者が善行をすることにより、亡くなった方への徳を積むことになり、極楽浄土へ行けるようにするものです。
神棚封じのやり方は?
手順は以下のようになりますよ。
- 神棚の神様に挨拶をする
- 家族の誰が亡くなったか報告
- 神棚にお供えしている洗米や酒、榊などすべてを下げる
- 神棚の扉を閉める
- 扉の正面を隠すように白い半紙を貼りつける
それぞれに関して説明しますね。
神棚の神様に挨拶する
まず、神棚封じを行う前に神様へ挨拶をします。
これは、軽くお辞儀をする程度でも問題ありません。
家族の誰が亡くなったか報告
挨拶のあと、家族の誰が亡くなったのかを神様に報告します。
こうすることで、神様も誰が亡くなったのかをしっかり知ることが出来るのです。
神道では、亡くなった方は神の世界へ行き、遺された家族や家を守る守護神になると考えられています。
そのため、亡くなった方を神の世界まで案内できるよう、きちんと報告することが大切です。
神棚のお供え物や榊を取り下げる
神棚にあるお供え物や榊を取り下げます。
基本的に、お供えしてあるもの、左右に供えられている榊もすべて取り下げてください。
また、神棚を封じている期間中はお供え物をしたり、礼拝をしたりといったことは一切行わず、神棚に近寄らない生活を送ります。
そもそも、神棚を故人の死(穢れ)から遠ざける目的で神棚を封じるのです。
そのため、50日の忌中期間が過ぎるまでは、神棚への礼拝やお供えはもちろん近づいたり、触ることもタブーとされています。
ただし、50日が経過したら、お供え物を戻し、礼拝などをしても構いません。
神棚の扉を閉める
扉はしっかりと閉めるようにしてください。
このためにも、周辺においてあるものはすべて下げなければならないのです。
扉の正面を隠すように白い半紙を貼りつける
封印の方法は、書道で使う通常サイズの半紙をそのまま神棚に貼りつけるのみです。
もし半紙がない場合は、半紙と同じサイズほどの白い紙、またはコピー用紙で代用しても問題ないですよ。
ちなみに、半紙にはなにも書きません。
半紙を貼る際、画鋲やピンなどは使わないようにしましょう。
神棚に穴を開けるような行為は神様に対して失礼ですし、先の尖ったものを突き刺すというのは縁起が悪いともされます。
そのため、セロテープなどで半紙を貼るのが一般的です。
神棚の前にしめ縄が巻いてある場合は、縄の上からセロテープで貼っても大丈夫ですよ。
https://www.instagram.com/p/Boy6MQIHayD/
実際の画像です。
おばあちゃん家に行ってきた。神棚封じしてあった。そして、おじいちゃんが作ったお守り。 pic.twitter.com/HrlB1MN20a
— 明琉(ぴよ) (@akuru_piyo) October 20, 2019
このように、離して半紙をはるご家庭もあるようですね。
バランスに関しては、とくに気にする必要はありません。
なぜなら、神棚の正面をすべてカバーできるように半紙を貼る必要はないからです。
ただし、神棚の中心に貼るようにしてくださいね。
神棚封じはいつから行う?期間はいつまで?
また、期間はどれくらいとなるのでしょう?
神棚封じをはじめる時期
神棚封じは、故人が亡くなったことがわかったらなるべくはやい時期から行います。
ただ、具体的にどのタイミングで行うかはさまざまな考えがあり一概にはいえません。
しかし、一般的には、故人が家に帰ってこられて、枕飾りなどをしたあとに行われる方が多いようですよ。
神棚封じの期間
さきにも述べましたが、神棚封じをしている期間は50日間です。
「いつまでを忌中とするか」は宗教によって異なり、神道の場合は、忌中は50日間とされ、これは、忌明けの祭事である「五十日祭」と繫がっています。
ちなみに、仏教での忌中は49日間(四十九日法要)とされ、そちらと間違われやすいので気をつけましょう。
神棚封じが基準とするのは、「忌中」であり、「喪中」ではありません。
つまり、50日を過ぎたら神棚封じは解きます。
「喪中」と「忌中」に関して簡単に説明すると・・・
- 喪中・・・忌中を含む1年間
- 忌中・・・仏式→49日、神式→50日
となります。
そのため、喪中であっても忌中期間を過ぎれば、神棚への拝礼だけでなく、神社への参拝も可能となりますよ。
「喪中」や「忌中」に関する詳しい記事も参考にしてくださいね。
なお、地域によっては、
- 父母の場合・・・50日間
- 祖父母の場合・・・30日間
というように、神棚封じの期間が異なる場合も。
そのため、期間については、地域の慣習に従うのがよいでしょう。
-
神棚封じの時期がお正月と重なった場合どうしたらよいですか?
一般的に、 五十日祭 と呼ばれる神式の行事を終えたら、神棚封じは終了となります。
神棚封じを解く方法
さきに述べた通り、神棚封じをしている期間は50日間です。
つまり、50日を過ぎたら神棚封じは解きます。
それでは、やり方の手順にそって説明しますね。
神棚封じを解く手順
手順は以下のようになりますよ。
- 封じを解く際は、身体を塩で清めて穢れを祓ってから礼拝をする
- 正面に貼りつけていた白い半紙をそっとはがし、神棚の扉を開けて元の状態へ戻す
- 封じる前の神棚と同様に、榊・水・米・酒などを供える
神棚封じを解く際も家族以外の第三者にはがしてもらうとよいでしょう。
ただし、難しい場合はご家族の誰かがはがしても問題ではありません。
使用した半紙は解いたあとは不要となりますので、一般の不要物として処分しても問題ありません。
半紙自体は、お札やお守りと違い神社からいただいた物ではありませんし、神棚に付属するお供えの器でもないため、神棚封じが終わったあとはただの紙と考えられます。
神棚封じは誰がやる?
神棚封じを行う人は、基本的に家族ではない第三者がよいとされています。
これは、遺族は死との関わりが深いと考えられ、その家族が神棚封じをするのはよくないとされるためです。
そのため、可能であれば、親しい親戚や信頼できる友人などに行ってもらうのがいいでしょう。
また、葬儀社のスタッフに神棚封じを行ってもらうえる場合もあります。
しかし、近年では、家族が行うことも増えているようです。
そのため、頼める人がだれもいない場合は、家族の方が神棚封じをしてもいいでしょう。
神棚封じを忘れた場合は?
説明すると・・・
もし忘れていた場合やあとから知った場合は、思い出した時点、または、知った時点で半紙を貼ったほうがよいでしょう。
その際、「失礼をお許しください」と一礼することをお忘れなく。
また、忌中の間は神棚封じをしなければならないものと知らず、間違って神棚封じを解いてしまったとしても問題ではありません。
そのような場合は、塩を使って自分を清めたあと、ふたたびテープで半紙を貼りつければ、神棚封じは続いていることになります。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
- 神棚封じとは、家に神棚のある家族に不幸があった場合、神棚の正面に半紙を貼り、神棚を封印することである
- 神棚封じの方法は、書道で使う半紙をそのまま神棚に貼りつけるのみである
- 半紙を貼る際、画鋲やピンなどは使わないようにし、セロテープなどで半紙を貼るのが一般的
- 神棚を封じる場合、仏壇も封じる必要はない
- 神棚封じは、故人が亡くなったことがわかったらなるべくはやい時期から行う
- 神棚封じをしている期間は50日間である
- 50日が経過したら、 正面に貼りつけていた白い半紙をはがし、神棚の扉を開け、お供えを用意する
- 神棚封じを行う人は、基本的に家族ではない第三者がよいとされるが、家族が行っても問題ではない
- 忘れていた場合や知らなかった場合は、思い出した時点、または、知った時点で半紙を貼ったほうがよい
- 間違って神棚封じを解いてしまった場合は、塩を使って自分を清めたあと、ふたたびテープで半紙を貼りつければ、神棚封じは続いていることになる
現代の日本において、神道で行われる「神棚封じ」について知らない方も多いと思われます。
その内容を知らないと、「すごい準備が必要なのかも?」と思う方もいると思いますが、今回ご紹介した通り、ごく簡単な準備で済むものです。
そのため、もし「神棚封じ」が必要になったら、故人が亡くなられてからなるべくはやく準備するようにしてくださいね。