お膳は一周忌に準備するものの一つよ。
お膳についてわかりやすく説明するわよ。
当たり前のように、「お膳を用意しておいて」と頼まれても、ピンと来ない方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、一周忌の仏壇に供えるお膳について
- 意味合い
- どんなものがいいのか?
- 食器
- 配置
- 盛り付け方
- いつ供えるのか
- 下げるタイミング
など、知っておくと役立つあれこれをわかりやすくまとめますので、参考にしていただければ幸いです。
一周忌の仏壇に供えるお膳とは?どんなものがいい?
まず、意味を説明するわ。
お膳は、故人のためにお供えする(召し上がっていただく)食事です。
正式には、このお膳のことを霊供膳(りょうぐぜん)といいます。
実際食べられるわけではないものの、湯気・香りを頂いてもらい今までの感謝を示す意味を込め、供養し冥福を祈るためにお供えします。
お膳の内容
献立にも以下のようなルールがあります。
- 精進料理
- 一汁三菜
- 向かない野菜もある
基本的には精進料理です。
つまり、生き物を殺生した食材(肉・魚・卵など)を使わない、不殺生戒という仏教の教えに基づいた料理になります。
そして、日本料理の基本ともされる一汁三菜(汁物1つに、おかず3品)がルールです。
また、精進料理なので野菜メインでと思われがちですが、その野菜の中でも不向きなものが、五辛(ごしん)といって香りが強く負のイメージがあるもの・・・
ニンニク・ネギ・らっきょうなどは不向きとなります。
メニューとしては、
- ご飯(白米・栗ご飯・炊き込みご飯など)
- 汁物(味噌汁やお吸い物など)
- 漬物(ぬか漬け・たくわん・しば漬けなど)
- おかず1品(きんぴら・胡麻和え・白和えなど)
- おかず1品(がんもどきの煮物・かぼちゃの煮付けなど)
などをイメージしていただくといいでしょう。
煮豆は盛り付けやすく、いいですね。
こちらを見ると、器の大きさがよくわかるでしょう。
一周忌の仏壇に供えるお膳は専用食器がいい?
ただ、一周忌という人目に触れるお膳では、専用食器を用意した方が見た目的にもいいでしょう。
それに、なかなかお膳に一汁三菜すべてを普段使っている食器で盛り付けるのも、乗り切らず難しいですしね。
食器の種類としては
- ご飯が盛り付けられる・・・飯碗
- 味噌汁や汁物が盛り付けられる・・・汁椀
- 煮物料理を盛り付ける・・・平椀
- 漬物などを盛り付ける・・・高坏
- 簡単な煮物や和え料理を盛り付ける・・・壺椀
が必要になり、日頃私たちが使っている食器よりも、一回り小さいものが専用食器です。
これは、仏具店などに専用食器が「仏飯器(ぶっぱんき)」として販売されています。
ネットでも、3千円前後から揃いますよ。
ただ、浄土真宗の場合お仏壇に供える仏食器は
- 浄土真宗 本願寺派では黒系
- 真宗 大谷派では金色の仏飯器
- 日蓮宗は朱色
というのが一般的ですが、それ以外の宗派ではとくにこだわらず、仏壇に合わせたものでかまいません。
(ただ、浄土真宗では、先祖の供養や冥福を祈る考えがなく、霊供膳をお供えする考えがないんです。)
最近では、こんなおしゃれなカラーの仏飯器も。
こんな色もあるなんて、これに入れてお供えすることを考えると、料理も頑張れるわ。
色は奥が深いので、そこまでこだわらず、仏壇の色に合わせるという方も多くいらっしゃいますが、お祝い膳としても使える黒が人気です。
一周忌の仏壇に供えるお膳!配置や盛り付け方は?
基本的には、普段の食事同様、左に飯碗・右に汁椀という配置ですが、宗派ごとの違いもあります。
また、手前に箸を置くというのも普段と一緒ですが、右利き左利き関係なく、右利き用の向きが基本です。
そして、それを仏壇に向けて置く・・・、召し上がっていただくのは仏壇側にいらっしゃる故人という考えからですね。
宗派ごとの配膳
- 浄土宗
- 臨済宗・曹洞宗・日蓮宗(宮中)
- 天台宗・真言宗・日蓮宗
と分けて説明しますね。
浄土宗
- 左前に飯椀
- 右前に汁椀
- 中央に高坏
- 左後ろに壺椀
- 右後ろに平椀
- 飯椀と汁椀の前に箸
臨済宗・曹洞宗・日蓮宗(宮中)
- 向かって左前に飯椀
- 右前に汁椀
- 中央に壺椀
- 左後ろに平椀
- 右後ろに高坏
- 飯椀と汁椀の前に箸
天台宗・真言宗・日蓮宗(小笠原流)
- 向かって左前に飯椀
- 右前に汁椀
- 中央に高坏
- 左後ろに平椀
- 右後ろに壺椀
- 飯椀と汁椀の前に箸
というように、宗派によって違いがあるので、宗派を確認して配膳するといいでしょう。
盛り付け方
また、盛り付け方は、器が普段使っている食器よりも小さいということを頭に入れてください。
つまり、小さく切ったものでないと乗り切らない、見た目にも悪いということが起こります。
ただ、刻みすぎると盛り付けにくくなるため、お漬物などはとくに、器の大きさを考えた切り方をするといいでしょう。
一周忌のお膳はいつお供えしていつ下げる?
お供えするタイミング
まず、お供えのタイミングとしては、2つの意見があります。
- 一周忌法要がはじまる前
- 自分たちが食事をする前
これは、どこで一周忌法要をするのかによっても異なるんです。
一周忌がはじまる前
自宅で一周忌法要をする場合、皆が集まり読経の最中には、お供えしておかなければなりません。
ただ、早く配膳しすぎると湯気が消えてしまいます。
法要開始数分前にお供えするのがベストですが、直前では僧侶が来られたりバタつくため、僧侶が来る前に用意し、蓋をし直前で外してもいいでしょう。
自分たちが食事をする前
お寺などで一周忌法要を行い、会食はまた別な場所(お寺の和室やお店)で行う場合には、自分たちが食事をする前にお供えするのがベストです。
というのも、まずは先に故人へ。
これは、故人のために行なっている一周忌法要だからというのもあり、先に自分たちが食してからというのは、なんとなく故人に怒られそうなイメージもありますよね。
下げるタイミング
そして、下げるタイミングは、
- 湯気がなくなったら
- ご飯が固まる前
- 遅くともその日のうちに
というのが答えで、下げたお膳は自分たちで食べていいので、傷みやすい夏場は早めに下げる方がいいでしょう。
一周忌は、仏様の準備だけでなく、会食のお斎も頭に入れておく必要があります。
こちらも合わせてご覧ください。
最後に
ポイントをまとめます。
- お膳は、霊供膳といい、故人のためにお供えする食事
- 湯気・香りを頂いてもらい今までの感謝を示す意味を込め、供養し冥福を祈るため
- 精進料理が基本
- 一汁三菜
- 向かない野菜(五辛といって香りが強く負のイメージがあるもの)もある
- 霊供膳は、日頃私たちが使っている食器よりも、一回り小さいものが専用食器
- 左に飯碗・右に汁椀という配置が基本なものの、宗派ごとの違いもある
- お供えするタイミングは、一周忌法要がはじまる前や、自分たちが食事をする前
- 下げるタイミングは、湯気がなくなったら、ご飯が固まる前、遅くともその日のうちに
なかなか奥が深いお膳ですが、一周忌が終わっても、その後年忌法要は三回忌・七回忌と続くので、覚えておくといいでしょう。